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葭原 基さんってデザイナーの方を知っていますか?
よしはら もとえ さんとお読みします。
飛騨高山の老舗家具会社 飛騨産業で
長らくデザインをされていた方です。
葭原さんの名前は、知る人ぞ知る、という感じだと思います。
社内デザイナーとして、高度成長期から、
ベストセラーの椅子を
たくさん、たくさんデザインされた、スゴイ方です。
葭原さんの名前は知らなくても、
この椅子はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。
1968年から、2001年まで!つくり続けられた、
ロングセラーの椅子です。
「食堂椅子」と呼ばれています。
この椅子は、飛騨産業の椅子だと思っていたのですが、
預かった椅子には、白川木工のシールがありました。
白川木工も高山の家具メーカーです。両メーカーでつくっていた?
事情はわかりませんが、お客さんは、40年使ってきたそうです。
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曲げ合板に薄いウレタンが乗っていました。
ウレタンは分解して薄くなっています。
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しっかりとしたウレタンに交換します。
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木部も一部、接着が切れていました。分解して再接着します。
分解してわかる、この椅子の構造の考え抜かれていること。
材料を無駄にせず、
直線的な材の組み合わせで、座り心地のよさをつくっています。
すべての組み方に無駄がなく、
2重、3重に強度を保って、
かつ、つくりやすくなっています。
本当に考え抜かれた椅子だと思いました。
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ちょうど、同じ時に、BC工房で制作した、
葭原さんデザインのゆったりもとい椅子も、張り替えで戻ってきました。
1960年代の高度成長期の椅子と、
2000年代の豊かになった?時代の椅子。
ゆったりもとい椅子は、長らく、BC工房のベストセラー椅子でした。
ぜいたくにチークの無垢材を削り出してつくった、
彫刻的な笠木(背の上の部分)、
脚も、なみだ型のフォルムで、
BC工房以外はつくれないような、手をかけた椅子でした。
「食堂椅子」は1968年当時、5800円だったそうです。
庶民の手の届く夢のダイニングチェアとして、売れに売れたそうです。
「ゆったりもとい椅子」は、6万円でした。
自分に合った椅子で、豊かな時間をすごすための椅子として、人気でした。
時代に、人に、呼応して、デザインは流れて行くんですね。
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張り替えと、修理を終えて、
よみがえった、「食堂椅子」。
他の椅子を納品に行ったときに、
そういえば、この椅子直るかしら。と出された「食堂椅子」
「これは、すばらしい椅子です。ぜひ直してつかってください!」
と半ば強引にお願いしました。
「そう、この椅子、座り心地いいのよ。また使ってみようかしら。」

それなりのお金をかけても、直してつかっていきたい家具。
そう思われる家具は、幸せだと思います。
つくり手が大事につくり、売り手もしっかり価値を伝え、
つかい手に愛用されなければ、捨てられます。

家具が、30年、50年、100年続いていくには、
まず、つくり手が、
いいモノを 正直につくって売らないとだめだと思います。
日本の家具も、そうなれる。
と信じています。

BC工房の椅子は、張り替えできます。修理もたいがいできます。
大事に長くつかってもらう。
家具屋としての願いであり、誇りです。

BC工房
KAZU