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横浜・元町商店街。
にぎわうメインストリートの一本裏、
川ぞいの道に1軒のバーがありました。
BAR En(バー エン)。
看板もなく、ひっそりとたたずむ一軒家。
うす明りを頼りに、ドアを開ける。
中は、さらに暗闇がひろがる。
暗闇に目が慣れたころには、
BAR Enの居心地のよさに包まれている。

知る人ぞ知る、隠れ家バーとして、
元町の人々に愛されて12年。
もはや、有名なバーになっていました。

BC工房の椅子を、
バーで使っていただいたハシリのお店。
「この椅子から、店づくりがスタートしました。」
椅子から=お客さんの居心地から、
カウンター、照明、距離感など、すべてを設計したお店。
「ゆったりつるつる椅子」を世界一生かしてくれた店。

去年の秋ごろ、
店主・バーテンダーの遠藤さんから、
「実は、店を閉めなくてはいけなくなりまして。」
と聞きました。

借りていた築50年を超える古家は、
船を修理する小屋だった。
船をつるす太い梁と、高い天井のある、
趣深い、ユニークな建物でした。
遠藤さんが、歩きながら見つけた小さな不思議な小屋。
数年で取り壊すかもしれないけど、それまでなら。というコトで借り受けて、
その改装がデヴュー作になる建築家さんと思い入れてつくりこんだ店。

それを壊して、新しい建物をつくるコトになったそうです。

ある意味、奇跡の店だったBAR Enがなくなる。
このニュースは、元町を静かに駆け巡ったようです。

みな、ひそかに物件探しをしたり、存続を願いました。
元町の川ぞい、ではもうそんな場所ないよね。
まあ、ちょっと離れても、みんな行くでしょう。
そんな話をみなしていた年末、寒いころ。

「新しい場所が、決まりまして。」
クールな遠藤さんがめずらしく、うれしそうに話してくれました。
今までの場所から、100mほど横に行っただけの、
川ぞいの新築ビルの1階。広さもちょっと広くなる。

願ってもない物件は、
Enで生まれた「縁」がつながり、実現したそうです。

BAR Enは、一度無くなり、すぐそばで復活しました。

基本は、前の店の居心地を再現するように、
ゆったりつるつる椅子を張替え、
カウンター、店全体をレイアウト。
でも、できあがってみると、前の店と同じようなんだけど、
一味も二味もちがう、さわやかに進化したお店になりました。


いい街には、いいBARがある。
いいBARは、その街で暮らす人々をかすかな縁でつなぐ。
そんなかすかな縁を楽しみ、大事にすることが、
時にまた、街の奇跡を起こす。

僕らのつくった「ゆったりつるつる椅子」が、
またこれからも、その舞台になればうれしいです。


よこはまBC工房
KAZU


BAR En (バー エン)
横浜市中区元町3-116-1F
tel 045-662-0802
OPEN 19:00~2:00
定休日 水曜日