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センの木とSさんの物語。

初夏のある日、横浜BC工房に来てくれたSさん。

「あまり使えていない大きな無垢板テーブルがあるんだけど、
折りたたみできる、カンタンな脚とかないかしら。」
「いい板だと思うんだけど、下取りとかできないかしら。」

お話を聞いていくと、
引っ越しをする予定があるそう。
新しい暮らしをいろいろ考えはじめたところでした。

新しい家具の話をしながら、
何かその木に思いがあることを感じました。
その木を新しい暮らしに活かせないだろうか。
お家にうかがって、現物を見ながらお話することにしました。

行って驚きました。
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今、木の市でも、ほとんど見ることのできない、
北海道産の大きなセンの木。
しかも、極上の木目。
2m60cmx1mというサイズ。
奇跡のような一枚板でした。

25年前、家を新築した時に入れた
大きなセンの木の座卓。
今は、ご主人のアイディアで、
コンクリの脚の上に置いて、
リビングテーブル的につかわれていました。

ご友人の建築家さんとつくられた、というお家にも驚きました。
光・風がここちよく入り、
間取りも、使い勝手もよく考えられていて、
施工も、どこか手のぬくもりが感じられる、
モダンな数寄屋?和とモダンが絶妙にまじってる。
この家に住んでみたい。と思えました。

お子さんが学生の時、野球をやっていて、
仲間がいつも集まっていた時は、
大活躍していたこのテーブルも、
今は大きすぎてなかなか使いづらい。

いろいろ事情があって、
今度、ご夫婦で、
愛着のあるこの家から、
新築マンションへ引っ越すことに決めたそうです。

いろいろ考えたけど、決めた。

「この木をいかして、新しいくらしをつくりましょう。」
この仕事は、どうしても、やりたい。そう思いました。
佐藤邸新居家具プラン-1


12.5帖のLD。
いつもは二人だけど、
Sさんのところにみんな集まる。
宴会の多いSさんの家。
麻雀も好き。

2m60cmのセンの木を分割する。
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=みんなで囲める「たまごテーブル」と
 ちょっと低めの「だんらん椅子」で、
 リビング&ダイニングの中心をつくる。
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=小さなセパレートテーブルは、
 4人で囲む「麻雀テーブル」。
マージャン

2つに分ければ、ご夫婦それぞれのデスクに。
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ぜんぶつなげれば、10人で囲めるパーティーテーブル。
いっしょに合わせて

リビングには、テレビボードとカウンター下に食器棚を。
そして、思い出のつまったじゅうたん「ギャッベ」。
何と、奇跡的にピッタリ納まりました。
ここに来ることになっていたかのように。リビング見る

無垢材を生かしたテレビボード。
壁の間にぴったり納めました。IMG_0586

キッチンカウンターの下に、グラスや食器を入れるボード。
お客さんも、キッチンの中に入らなくても、
グラスや小皿を出したりできます。キッチンボード


「引っ越すのは来年なんだけど、
 ここで、年内宴会たくさん入ってるのよ!楽しみになってきた!」
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納めたばかりのテーブルで、
お弁当をごちそうになりました。
新しい暮らしに向けた、
Sさんのうきうきした笑顔を見て、
本当にうれしくなりました。

150年育ったセンの木。
Sさんの家での25年。
そして、これからの何十年。
200年の物語。
思い出のつまったテーブルが、
これからも、新しいくらしの中心で生きていく。

過去と未来を、
思い出と希望を、
人と人とを、
「つなぐ家具」。

家具屋になったのは、
こんな仕事がしたかったからだ。
そう思えた仕事でした。

Sさん、「うれしい仕事」をさせていただきました。
本当にありがとうございます。
みんなで宴会、楽しんでください!

BC工房
KAZU