25年前。新築祝いにいただいた、
おばあちゃんとおじいちゃんの思い出の座卓。
北海道のご友人が、自分の山に生えていたセンの木をつかって、
あつらえてくれた特別な品でした。
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木が大好きなおばあちゃん、見ているだけでも心が落ち着くそうです。
ただ、今、畳に座るのがつらくて、この部屋自体あまり使えていなかった。
お嫁さんのTさん、座卓と、この和室をどうにかできないかしらと、考えていたそうです。
お店に相談に来たTさんは、えんがわ工芸椅子に座って、
「おばあちゃんにはこの椅子!」と直感されました。
「お店に来れないおばあちゃんに、お家で椅子に座ってもらいましょう。」と、
椅子とテーブルの脚を持って、「出前」しました。IMG_1598
おばあちゃんも、えんがわ工芸椅子に座ってすぐ、
「まあ、この椅子すごく座りやすいし、立ちやすい。まるで私につくったみたい。」
と言ってくれました。Tさんのカンがピッタリ。IMG_1601
今や希少なセンの一枚板。8.5cmのりっぱな厚み。
実は、8〜9cmの厚みは、ちょっと厚過ぎて、
テーブルにしたとき、足元が狭くなったり、逆にテーブルトップが高くなったりと、
なかなか難しい厚みです。
5cmくらいに削って、カタチもちょっとやさしくすることを提案しましたが、
おばあちゃんは、
「この厚みが好きなの。主人との思い出もありますので、
 このままのカタチで活かしたいのよ。」
とはっきり言われました。

高さの設定をおばあちゃんに合わせて、見極めます。
座卓の高さを57cmにすると、
「これなら、ずっと座っていられるわ。」
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天板の厚み8.5cm、
畳から天板の下まで48.5cm。
えんがわ工芸椅子は、座面高35cm、
椅子とテーブルの高さの差は、22cm。
椅子から、天板の下端まで、13.5cm。

いつもの高さ設定より、天板が厚い分、足元が狭いですが、 
おばあちゃんが、えんがわ工芸椅子に座ると、天板の下でも余裕があります。
男性だと、ちょっと足元がきついので、
4脚のうち、2脚は5cm低い、座面高30cmにしましょう。
と、リフォームの流れが決まりました。

「お盆までにお願いできませんか。主人にも見せたいの。」

ふじので、しっかりていねいにつくって、8月11日に納品できました。DSC_0114
おばあちゃんの席に座ると、「ちょうど、主人の写真が見えるの。」DSC_0120
ひざも直角になって、足もぴったりつきました。ハーフアームで立ち座りも楽。
「こんなに楽に座って、立てるお袋、何年かぶりに見ましたよ。」と息子さん。

「思い出を残して、こんなに使いやすくつくっていただいて、
 本当にありがとうございます。
 この座卓は、主人ともいちばん大事なものだったのよ。
 きっと主人もよろこんでいます。
 嫁にも感謝しなくちゃいけませんね。
 家に知恵ものがいるのはありがたいことです。
 この3,4年大変なことが多かったけど、
 とてもうれしいことでした。ありがとう。」DSC_0124

家族の思いが、つながって、カタチになった。
そんなお手伝いができて、うれしい仕事でした。

「つなぐ家具」 
大事な思い出のつまった家具を、今のつかいかたにリフォームします。
立派な銘木の座卓を持っている方は多いと思います。
ただ、あまり使えていない方も多いと思います。
今の使い方に合わせて、椅子と組み合わせてリフォームすると、
思い出の座卓が、くつろぐテーブルに生まれ変わります。

お盆休み、家族の時間で考えたこと、なんでも相談してくださいね。

BC工房
KAZU


おまけ
座卓の脚も、センでしっかりつくられていました。
脚を外しながら、仕口を見て、
この座卓は、ていねいにつくられたものだとよくわかりました。
何かに生かせないか。と考えて、
おばあちゃんが、ダイニングで
ゆったりきらきら椅子に座ったときの「足おき」をつくって、プレゼントしました。
脚を3本つなげて、少しやさしく面取りしただけですが、
「大きさもちょうどいいし、何より、この脚が生かせたのがうれしいわ。」
と言ってくれました。
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