先日、横浜BC工房の留守番電話に、せっぱつまったメッセージが。
「明日、お客さんが来るんだけど、椅子をきれいにするやり方を至急教えて!」
申し訳ないことに、藤野の工房に行っていた私がそのメッセージを聞いたのは、
その「お客さんが来る明日」を1日過ぎていました。
「連絡遅くなりすみませんでした。これからうかがって、クリーニングしましょうか?」
「水ぶきして、少しきれいになったけど、黒いのがとれないのよ。来て下さる?」
現場へ急行しました。
7年前に納めたゆったりきらきら椅子。チーク材のオイル仕上げです。
おっしゃるとおり、まだ木部が黒ずんでいます。
ビフォー
これは、アブラ汚れが固まったもの。
ダイニングチェアは、料理の油、手の脂、ホコリ、いろいろついてきます。
椅子のチーク材は、長年使っていくと、色が濃くなります。
木自体の日焼け、オイルの日焼け、そして、アブラ汚れがミックスして、
いい味わいになってきます。
この黒ずみも、味の一つ、とも言えますが、ちょっと汚れを落とすと、
チーク本来の色と、ツヤがもどります。
アフター
どうですか?黒ずみがとれて、深まったチークの色は、まさにビンテージ。
この色とツヤこそ、チーク材のオイル仕上げの真骨頂です。
これは、誰でも簡単にできます!
市販のメラミンスポンジを使います。「ゲキ落ち」とかの名前で売ってます。
メラミンスポンジに水を少し含ませてこするだけでかなり落ちます。
水ではなく、
市販のオレンジクリーナー、アルカリ電解水クリーナー、重曹クリーナーなどと
いっしょにこすると、さらによく落ちます。
あまり目立たないところで練習してみてください。
水でべちゃべちゃにすると、木にしみ込み過ぎて、
オイルを取って白くなってしまうので、注意。
布や、キッチンペーパーで、水分と汚れをふき取りながらやってください。
市販のクリーナーで、これだけでツヤがもどる!とかいうのは、
シリコンなどのつや出し剤が入っていて、
木の上に薄く塗装したようになってしまうので、
薄化粧のオイル仕上げの材には、向きません。

クリーナー、水をよく拭き取って、
うすくワックスを塗って、すりこむようにふき取れば、
美しいチークがさらに美しく。
BC工房ではオリジナルの「きらきらワックス」をお分けしています。(700円)
蜂の巣からの「みつろう」と植物油の「アマニ油」のシンプルブレンド。
オイル仕上げのメンテナンスには、
市販のワックスの場合、シリコンなどのつや出し剤や、
樹脂分などの塗膜成分が入っていないモノがよいです。
これは、使った時はきれいですが、表面に膜をつくるので、
何度もやると、テカッてきます。
上に乗せたものは、いずれ劣化するので、
一発でツヤピカになるものは、その後の落差も大きいものです。
左がクリーニング&ワックス前、右がクリーニング&ワックス後。
ぜんぜんちがいますね〜。
2脚とも、新品の時より、ビンテージ感あふれる深い色とツヤになりました。

「すごいきれいになったわね!」
お客さんも驚いて、やっている間ずっと見てくれてました。
チークの無垢材をオイル仕上げでやってきてよかった〜。
と改めて思いました。
チークの色は深まる。手入れができる。ずっとつかえる。
大事なのは、「クリーニング」です。
木の表面の余分なアブラを取ること。
そうすることで、また薄くワックスをすりこむだけで、きれいになります。
お肌のお手入れと同じ。洗顔と保湿。素肌美がいちばん。
ヨーロッパのアンティーク家具のように、
クリーニング&ワックスを繰り返して、長く長く使っていくような、
塗装文化が日本にも定着していくことをずっと夢見ています。
個人的に思うのは、
今までの日本の家具は、塗装で損していると思います。
せっかくいい材をつかって、しっかりつくっているのに、
均一にするため、クレームがないようにするため、
ウレタン、ラッカーに色を入れて、厚塗りしてきました。
それが、劣化したり、はげると、下地の木の色が見えて、
とても残念な感じになります。
塗膜が強いだけに、メンテナンスはプロでも難しい。
買い換えた方が安いですよ。なんて売る側の論理で言ってきた。
塗装がライトで、やり直せれば、もっと長くつかっていけるのに。
他の誰かにつかってもらえるのに。
オイル仕上げは、
塗膜がほとんどないので、メンテナンスがしやすい分、
汚れやすかったり、シミができやすかったり、保護が弱かったり、
ユーザーがメンテナンスしなくちゃいけなかったり、
デメリットもあります。
「自然塗装」が万能なわけじゃない。
長い目で見たメンテナンス性、経年変化、日々の使い勝手。
いろんなバランスを考えていくと、
塗装は家具屋にとって、永遠の課題です。
チーク材のオイル仕上げは、素地自体の色つやをいかして、
メンテナンスのよさ、経年変化のよさがある、
長くつきあいやすい仕上げだと思います。
長年つかってくださっているBC工房の椅子を、
もっと愛着持ってつかっていけるように、
オリジナルブレンドの「クリーナー」を実験中です。
BC工房では、テーブルの仕上げも、ずっと試行錯誤しています。
オイル仕上げや、漆仕上げ、いろいろやってきました。
今、テーブルの仕上げは、
薄い「ウレタン」と「ワックス」の「ハイブリッド仕上げ」です。
今度は、テーブルの手入れについても、お知らせしますね。
BC工房
仕上げマニア
KAZU
「明日、お客さんが来るんだけど、椅子をきれいにするやり方を至急教えて!」
申し訳ないことに、藤野の工房に行っていた私がそのメッセージを聞いたのは、
その「お客さんが来る明日」を1日過ぎていました。
「連絡遅くなりすみませんでした。これからうかがって、クリーニングしましょうか?」
「水ぶきして、少しきれいになったけど、黒いのがとれないのよ。来て下さる?」
現場へ急行しました。
7年前に納めたゆったりきらきら椅子。チーク材のオイル仕上げです。
おっしゃるとおり、まだ木部が黒ずんでいます。
ビフォー

これは、アブラ汚れが固まったもの。
ダイニングチェアは、料理の油、手の脂、ホコリ、いろいろついてきます。
椅子のチーク材は、長年使っていくと、色が濃くなります。
木自体の日焼け、オイルの日焼け、そして、アブラ汚れがミックスして、
いい味わいになってきます。
この黒ずみも、味の一つ、とも言えますが、ちょっと汚れを落とすと、
チーク本来の色と、ツヤがもどります。
アフター

どうですか?黒ずみがとれて、深まったチークの色は、まさにビンテージ。
この色とツヤこそ、チーク材のオイル仕上げの真骨頂です。
これは、誰でも簡単にできます!
市販のメラミンスポンジを使います。「ゲキ落ち」とかの名前で売ってます。
メラミンスポンジに水を少し含ませてこするだけでかなり落ちます。
水ではなく、
市販のオレンジクリーナー、アルカリ電解水クリーナー、重曹クリーナーなどと
いっしょにこすると、さらによく落ちます。
あまり目立たないところで練習してみてください。
水でべちゃべちゃにすると、木にしみ込み過ぎて、
オイルを取って白くなってしまうので、注意。
布や、キッチンペーパーで、水分と汚れをふき取りながらやってください。
市販のクリーナーで、これだけでツヤがもどる!とかいうのは、
シリコンなどのつや出し剤が入っていて、
木の上に薄く塗装したようになってしまうので、
薄化粧のオイル仕上げの材には、向きません。

クリーナー、水をよく拭き取って、
うすくワックスを塗って、すりこむようにふき取れば、
美しいチークがさらに美しく。
BC工房ではオリジナルの「きらきらワックス」をお分けしています。(700円)
蜂の巣からの「みつろう」と植物油の「アマニ油」のシンプルブレンド。
オイル仕上げのメンテナンスには、
市販のワックスの場合、シリコンなどのつや出し剤や、
樹脂分などの塗膜成分が入っていないモノがよいです。
これは、使った時はきれいですが、表面に膜をつくるので、
何度もやると、テカッてきます。
上に乗せたものは、いずれ劣化するので、
一発でツヤピカになるものは、その後の落差も大きいものです。
左がクリーニング&ワックス前、右がクリーニング&ワックス後。
ぜんぜんちがいますね〜。

2脚とも、新品の時より、ビンテージ感あふれる深い色とツヤになりました。

「すごいきれいになったわね!」
お客さんも驚いて、やっている間ずっと見てくれてました。
チークの無垢材をオイル仕上げでやってきてよかった〜。
と改めて思いました。
チークの色は深まる。手入れができる。ずっとつかえる。
大事なのは、「クリーニング」です。
木の表面の余分なアブラを取ること。
そうすることで、また薄くワックスをすりこむだけで、きれいになります。
お肌のお手入れと同じ。洗顔と保湿。素肌美がいちばん。
ヨーロッパのアンティーク家具のように、
クリーニング&ワックスを繰り返して、長く長く使っていくような、
塗装文化が日本にも定着していくことをずっと夢見ています。
個人的に思うのは、
今までの日本の家具は、塗装で損していると思います。
せっかくいい材をつかって、しっかりつくっているのに、
均一にするため、クレームがないようにするため、
ウレタン、ラッカーに色を入れて、厚塗りしてきました。
それが、劣化したり、はげると、下地の木の色が見えて、
とても残念な感じになります。
塗膜が強いだけに、メンテナンスはプロでも難しい。
買い換えた方が安いですよ。なんて売る側の論理で言ってきた。
塗装がライトで、やり直せれば、もっと長くつかっていけるのに。
他の誰かにつかってもらえるのに。
オイル仕上げは、
塗膜がほとんどないので、メンテナンスがしやすい分、
汚れやすかったり、シミができやすかったり、保護が弱かったり、
ユーザーがメンテナンスしなくちゃいけなかったり、
デメリットもあります。
「自然塗装」が万能なわけじゃない。
長い目で見たメンテナンス性、経年変化、日々の使い勝手。
いろんなバランスを考えていくと、
塗装は家具屋にとって、永遠の課題です。
チーク材のオイル仕上げは、素地自体の色つやをいかして、
メンテナンスのよさ、経年変化のよさがある、
長くつきあいやすい仕上げだと思います。
長年つかってくださっているBC工房の椅子を、
もっと愛着持ってつかっていけるように、
オリジナルブレンドの「クリーナー」を実験中です。
BC工房では、テーブルの仕上げも、ずっと試行錯誤しています。
オイル仕上げや、漆仕上げ、いろいろやってきました。
今、テーブルの仕上げは、
薄い「ウレタン」と「ワックス」の「ハイブリッド仕上げ」です。
今度は、テーブルの手入れについても、お知らせしますね。
BC工房
仕上げマニア
KAZU